ゴールデンウィークが過ぎ、初夏の気配が漂い始めると、県立宇宙科学館がある武雄温泉保養村(武雄町)の小川では、ゲンジボタルが幻想的な光を放ち始めます。
日本には約50種のホタルが生息していますが、幼虫期を水中で過ごす種はごくわずかです。ゲンジボタルは幼虫期を水中で過ごし、成長すると蛹(さなぎ)になるため陸へ上がります。その後、1カ月ほどで羽化して成虫となり、夜空を舞うという生活史を持っています。
ホタルが命をつなぐためには幼虫が育つ水域、蛹になるための柔らかな陸地、そして成虫が飛び回る空間など、各ステージに適した環境が「連続的」に存在することが不可欠です。
武雄温泉保養村で見られるこの環境は決して偶然の産物ではなく、関係者による地道な環境保全活動によって維持されています。そしてホタルを守ることは、豊かな生物多様性を守ることにつながっています。
今夜も人々の手で育まれた光が、武雄の自然の豊かさを物語っています。
(研究交流グループサブマネージャー・伊藤辰徳)


