明子館長の佐賀発見!#9
第9回 武雄温泉保養村で感じる“持続可能な楽しみ方” 2025年10月16日
東京ドーム21個分の自然!
武雄市って、佐賀県の西側、長崎まで車でおよそ1時間の場所にあります。その豊かな森の中に広がるのが「武雄温泉保養村」。
敷地面積は約100ヘクタール、東京ドーム約21個分の広大な自然の中に、佐賀県立宇宙科学館《ゆめぎんが》もあります。

最寄り駅はJR九州の武雄温泉駅。
その名のとおり、この地域は古くから温泉が豊富で、なんと《ゆめぎんが》の建物内にも温泉孔があるほどです。
保養村内には温泉や旅館、世界的にも高い評価を得たサウナ付きのホテル、カフェなどがあり、県内外、そして海外からの来訪も年々増えています。
自然の中で過ごす新しい休日―人気のキャンプ場オープン
近年、保養村内に最新のキャンプ場がオープンし、家族連れや若い方々でにぎわっています。
今のキャンプは、テントもギア(道具)もおしゃれで機能的でびっくり。
ファミリー向けの広々テントから、一人用のソロキャンプまで、カラフルなテントが並ぶ様子は、まるで自然の中の展示会のようです。
夜になると、木々の香りや風の音、小川のせせらぎに包まれながら、バーベキューをする人たちの笑い声が響きます。
そんな光景を見ていると、自然と人が共に生きる時間の尊さを感じます。
星空を守るためにー光を抑えて星を守る、地域の知恵と協力
この保養村の豊かな自然を守るために、キャンプ場のスタッフと《ゆめぎんが》のスタッフが集まり、意見交換を行いました。
「星空は暗い場所でこそ美しい」―この言葉を合言葉に、キャンプ場の照明が光害にならないようにする工夫や、バーベキューのごみ処理などについて、真剣な話し合いが行われました。
アウトドアのプロと自然観察のプロが、同じ目線で“持続可能な楽しみ方”を考える。
その姿勢に、私も深く共感しました。
学芸員による自然観測と取り組み―小さな変化を見つめる科学の目
《ゆめぎんが》の学芸員たちは、長年にわたって保養村の自然を観測してきました。
太陽や星の見え方の微妙な変化、小川のホタルの数、池の魚や藻の繁殖など――。
季節ごとに変化する自然の息づかいを記録し続けています。外来種の増殖にも気を配り警鐘を鳴らすことも大事な役割。
また、環境省の「光害対策ガイドライン」も参考に、来館者やキャンプ利用者に“自然を守りながら楽しむ方法”を丁寧にお伝えしています。
スタッフみんなでキャンプ体験―“楽しむ”から始まる理解と共感
「利用者の皆さんに楽しんでもらうためには、自分たちも楽しもう!」
そんな思いから、キャンプ場スタッフと《ゆめぎんが》の職員で、一緒にキャンプを体験しました。
夜には、プラネタリウムのプロによる特別な星空観察も実施。満天の星を肉眼で眺めながらの解説は、まさに贅沢な時間でした。
あの瞬間、宇宙、地球上の自然、そして人がひとつに繋がっているような気がしました。
未来へつなぐ、自然と人との調和
この贅沢な保養村の自然と時間を守りながら、さらに魅力的な場所として発展させていくこと。それは、《ゆめぎんが》のスタッフだけでなく、保養村に関わるすべての人の願いであり、責任でもあります。
自然の中で過ごすひとときが、誰かの心を癒し、未来の世代へとつながっていく――。
これからも、自然と共に楽しみ、学び、守る取り組みを続けていきたいと思います。

星空キャンプ©ond park
佐賀県立宇宙科学館
館長 鈴木 明子
〇武雄市保養村(佐賀県公式観光サイト)
https://www.asobo-saga.jp/spots/detail/17cf2ecb-c752-4fe0-ab1a-6d3264de7778
〇ほたるが乱舞する「保養村ほたる祭り」(武雄市)
https://www.city.takeo.lg.jp/information/2025/04/014449.html
〇明かりと星の共生ミーティング(OND PARK)
https://www.instagram.com/p/C7FhP6whEEF/
〇星空未来キャンプ(OND PARK)
https://www.ondpark.jp/post/%E6%98%9F%E7%A9%BA%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97
〇観賞魚メダカを放流しないで(ゆめぎんが)
〇光害対策ガイドライン(環境省)

