明子館長の佐賀発見!#7
第7回 有明海沿岸を染め上げる「海の紅葉」 2025年7月21日
鳥たちの群舞のほかにも東よか干潟で驚いた美しい光景は、
これ↓ シチメンソウの群生です。
「シチメンソウ」って聞いたことありますか? 私は初めてでした。
シチメンソウは、塩分濃度の高い沿岸に育つ一年草の珍しい植物。満潮時には海水につかります。そして夏から秋にかけて緑から真っ赤に紅葉するので「海の紅葉」とも呼ばれており、東よか干潟は国内最大の群生地です。これも知る人ぞ知るですね。
しかし、2018年に原因不明の立ち枯れが広がり絶滅しそうになったそうです。佐賀市や佐賀大学そして地元の方々が協力して、種まきやごみ拾いなどを通して再生に取りくみ、今はその美しい風景がよみがえってきたとのこと。ちなみに環境省はシチメンソウを絶滅危惧種に指定しています。
再生の取り組みは、コロナ禍で大変だったろうなと思うのですが、早期の対策が功を奏して今があるのだと思うと、ボランティアの方々にはほんとうに感謝です。
そのおかげで、幸せなことに私はよみがえったシチメンソウの紅葉と対岸に沈む夕焼けを同時に見ることができたのですから。夕焼けの朱色とシチメンソウの朱色、異なる朱色のグラデーションとコンビネーションは言葉にできない美しさです。こんな風景をいつでも見られる佐賀の人たちはなんて幸せなのでしょうとお世辞抜きに思います(^^)
前回、私のどろんこ失敗談をお伝えしましたが、長靴がなくても心配しないで!
東よか干潟公園は、素晴らしく整備されており、広大な干潟や鳥たち、そしてシチメンソウを見渡すのであれば、高い堤防から泥を踏むことなく大いに楽しめます。
さらに、大きな望遠レンズつきのカメラを持つプロの写真家たちの写真には及ぶべくもないのですが、私の手持ちのiPhoneでも堤防の上から絶滅危惧種!をとらえることができました。嬉しかったのでご紹介。
有明海干潟の鳥たち1 (11806KB; )
(c)Y.Nakamura
クロツラヘラサギ
大きなヘラのようなくちばしを持つペリカンのような姿をした鳥。
朝鮮半島からわたってくる渡り鳥で、東アジアにのみ生息する絶滅危惧種。
動画はくちばしの先がセンサーになっていて、干潮時には群れをなしてえさを漁っているところ。愛嬌があり、まるで陽気なダンスをしているよう。
クロツラヘラサギ(V67)にGPSを付けて生態調査。北は朝鮮半島から南は鹿児島県南部まで移動 @NIBR Korea
《ゆめぎんが》で開催されているJAXAGA SCHOOLでは、人工衛星から得られる位置情報(GPS)について学び、衛星データが自然界における動植物の調査研究に役立っていることを学習しました。
みなさんも生き物を写メしに、干潟へぜひ!
佐賀県立宇宙科学館
館長 鈴木 明子
クロツラヘラサギ(V67)の有明海周辺の移動範囲 @NIBR Korea
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〇シチメンソウの一年(佐賀植物友の会)
https://www.saga-st.jp/siryou-situ/sitimensou.html
〇シチメンソウ保全活動(佐賀市)
https://www.city.saga.lg.jp/main/74882.html
〇GPSから見るクロツラヘラサギ (2439KB; PDFファイル)
〇マガモにGPS発信機装着し調査 (913KB; )
〇東よか干潟ビジターセンター「ひがさす」