「あの山田」のひとり言

#1 7年間の歩み!


 館内に展示してあるゾンビランドサガ関連の展示品の中でも思い入れが強いのが「フランシュシュ7年間の歩み!」だ。ゾンビランドサガシリーズの場面などを切り取った写真を並べたパネルは、劇場版で《ゆめぎんが》に展示してあるシーンをそっくり再現した。パネルの前で足をとめた男性はうっすらと目が赤くなっていた。

 東京から唐津に移住してきた男性は福島で東日本大震災に遭い自宅が壊れ、東京に移り住んだ。失意の中、「ゾンビランドサガ」に出合ったという。住めなくなった福島を出た後の日々を思い出していた。

 移住先を唐津にしたのはゾンビランドサガの舞台だったからだ。ライブに足を運び、劇場版封切り後、1週間もたたないのに何回も見たという。フランシュシュの「ヨミガエレ」の歌詞が男性の口をついて出た。「何度でも何度でも立ち上がれ 諦めなければ終わりは始まりへ変わる」。訥々(とつとつ)と語られる話を聞いていくうちに、思わずもらい泣きした。

 ゾンビランドサガに励まされ人生が変わったというファンに何人も会った。訴える力は「自分ごと」として置き換えられると説得力を持つ。いろんな人に伝えたいことを伝えるには。再スタートした人生で気付かされた。「あの山田」もその一人です。

2025年11月6日