絶滅危惧種「水生昆虫の王様」タガメ発見

佐賀県立宇宙科学館《ゆめぎんが》勤務で佐賀県立博物館職員の奥田恭介さんが佐賀県北部でタガメを発見、生息地を確認しました。水生昆虫の王様といわれる絶滅危惧種のタガメの生息地が佐賀県内で見つかるのは珍しく、県内に生息していることが分かったことによって、さらに近隣での分布把握を進めることで、保全のきっかけになりそうと喜んでいます。タガメ

タガメはカメムシの仲間で水生昆虫では国内最大級の大きさ。カエルや魚などを捕まえて食べるどう猛さ、そして近年ではめったに見ることができない希少性から「水生昆虫の王様」と呼ばれることもあります。かつては池や水田などで見られましたが、水質汚染や宅地造成などで姿を消し、今では、環境省や佐賀県が絶滅危惧種に指定しています。野外では7月ごろに孵化した幼虫が8月ごろ羽化、その年の冬を越して翌年の6月ごろ繁殖し、多くの個体が1年で一生を終えます。佐賀県内でも過去に唐津市などの県北部を中心に数件の記録があるものの、いずれも外灯に飛来したものなど偶発的に採集されたものとされていました。そういった状況で採集されたものは生息地が分からないため、種や生息地の保全ができない状況でした。

奥田さんと水生昆虫の専門家ら3人で412日午前11時ごろ、別の水生昆虫の調査をしていたところ、約6センチの成虫がタモ網に入りました。「タガメが採れました」という同行者の声に、奥田さんは最初「うそだろう」と耳を疑ったそうです。

宇宙科学館では近く、このタガメを展示する予定です。「その迫力や魅力を多くの人に知ってもらい、佐賀県の自然の豊かさを実感してもらいたい」と話しています。

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興奮冷めやらぬ奥田さんがタガメを発見した時の様子や保護への思いを語ってくれました。


 タガメは、かつて各地の水田や池に広く分布していた体長6センチほどの水生のカメムシの仲間です。タガメが生きていくためには、カエルや小魚などの豊富な餌はもちろん、農薬などの化学物質が流れ込まず、付近に強い明かりのない複数の水辺が必要です。しかし、各地でそのような環境が失われてしまった現在では、すっかり希少な昆虫となってしまいました。環境省は、その希少性からタガメを絶滅の危険性が高い「絶滅危惧II類(VU)」に選定し、さらに「特定第二種国内希少野生動植物種」にも指定し、売買や譲渡などを禁止しています。

 

九州でもタガメは絶滅の危機に瀕しています。佐賀県における過去の採集記録はきわめて少なく、どこかから飛んできたものが偶然捕獲されたものばかりでした。このため、どこで発生しているのかがわからず、個体群の保護や生息地の保全が困難な状況でした。

今回、水生昆虫の専門家である北杜市オオムラサキセンター(山梨県北杜市)の冨樫和孝館長たちと一緒に、佐賀県内の水生昆虫の分布調査を行いました。すると、県北部でタガメの生息地を見つけることができました(生息地保護・事故防止などの観点から、詳細な地名は伏せています)。佐賀県にタガメが生き残ってくれていたことに、私たちは大変嬉しい気持ちになりました。今後、まずは生息地とその周辺の環境の調査などを行い、ゆくゆくはより広範囲にタガメが暮らしていける環境をつくっていくことを目指していきます。

 

タガメが生きていくためには、餌となる多くのカエルや魚、そして足場や産卵に使われる抽水植物のヨシなど、多くの生き物の存在が必要不可欠です。タガメを守っていくことは、タガメだけでなくこれら多くの生き物を守っていくことにもつながっていきます。

 

今回見つかったタガメを、近日中に宇宙科学館の佐賀発見ゾーンで展示します。

 何を隠そう、私もタガメのかっこよさに魅せられて昆虫の世界から抜け出せなくなってしまった、多くの虫好きの中の一人です!!

そのかっこよさや迫力は、写真や動画ではなかなか伝わりません。また、多くの方にタガメを通して佐賀県の自然の豊かさを知ってもらえたらと思います。そして同時に、タガメがこれからも佐賀で暮らしていけるように、私たちに何ができるのかを考えてもらえたらと思っています。

ぜひ佐賀県で採れたタガメを見に、宇宙科学館へ遊びに来てくださいね!

 

【皆さんへのお願い】

水辺の生物採集は楽しいですが、同時に危険も伴います。必ず大人のひとと一緒に行くようにしてください。