先人の知恵トップ

見えるままを記録する工夫
=写真技術(6)=

=動きを記録する=

回転する円筒の中を覗くと絵が動いて見える
1832年、ベルギーのプラトー(Joseph Plateau)とオーストリアのスタンファー(Simon von Stampfer)がそれぞれ別々に同じ様な装置を考案しました。円筒の中に絵を並べて覗き口から覗く装置で、いずれも残像を利用し、回転する円筒の中を覗くと絵が動いて見えるというものでした。プラトーの装置は「フェナキストスコープ」、スタンファーの装置は「ストロボスコープ」と名前が付けられました。

映画やビデオは残像が残るという現象を利用!
速い動きのものを見ると人間の目には残像が残ります。このため円盤の中に並べてある少しずつ断続的に書かれた絵を連続して見せられると動いているように見えることになります。映画やビデオ等はすべてこの残像が残るという現象を利用して、動きのある画像を見ることが出来るよう工夫されています。

映画やビデオという動きを記録するために不可欠の工夫
その意味で、1832年の「ストロボスコープ」と「フェナキストスコープ」の考案は映画やビデオという動きを記録する工夫の始まりと言えます。

ストロボスコープ(複製)

回転する円筒の中に書かれた絵は、円筒の横の窓から覗くと、中で人が跳躍しているように見えます。
動きを記録する映画、テレビ、ビデオ等はいずれも断続的に書かれた絵も連続して見せられると残像の影響で動いて見えるというストロボスコープ等で使われた現象を利用しています。

動きを記録する工夫も写真と同じ頃に始まった
残像を利用して動きを表現する「フェナキストスコープ」や「ストロボスコープ」が発明された、1832年という年は、ニエプスが現存する最古の写真を撮影した年(1826年)やダゲレオタイプ(銀板写真)の技術が公開された年(1839年)とあまり離れてはいない時期です。「動きを記録する工夫」も同じ様な時期に始まっているとも言えます。

映画の始まり。ここでもルミエール兄弟が活躍
1891年、発明王エジソン(Thomas Edison)はKinetograph と呼ぶカメラ(ムービーカメラ)とKinetoscope(映写機ではなく一人で覗き込む方式の動画鑑賞機)の特許を得ました。動画を記録し見るためのものですが、エジソンの方式は覗き穴から覗くと動いている動画が見えるというものでした。
一方、オートクロームカラー乾板などでも有名なフランス人の兄弟(ルイ・オーギュストAuguste & Louis Lumiere)は、1895年Cinematographと呼ばれる投影方式の映写機の特許を取得し、パリのカフェで初の動画を上映しました。これはまさに現在の映画の前身で、投影方式でスクリーンに動く画像を映し出すものでした。

8mmムービーの画像


動きを記録する映画も素人が使える時代に。8mmムービーの画像。

左の画像は8mmムービーの画像を拡大したものです。短時間に多くの画像が撮影されています。
8mmムービーは1秒間に24コマの画像を映し出すことで動きを記録・再現しています。1秒間に24コマもの少しずつ変化した画像を次々撮影し、これらを連続して投影します。この次々と映し出される画像を見ると残像の影響で連続的に動いているように見えることになります。
8mmムービーフィルムは、16mmフィルムを半分にしたフィルムが使われています。





種々の8mmムービーカメラ

8mmムービーカメラ手軽に使える家庭用の映画撮影のため種々のムービーカメラが売り出された。


このページの上へ