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見えるままを記録する工夫
=写真技術(5)=

ポテトのでんぷんがカラー写真実現に貢献!

写真をカラーで記録したい!
乾板の発明(1871年)と前後して写真のカラー化のアイディアも出てきました。当時入手出来る材料がなかったため、すぐに実現はしませんでしたが、オーロン(仏)は1869年にカラー写真の原理を考案しました。減色法と呼ばれる絵の具の3原色を使う方法で、シアン、マゼンタ、イエローの3色の明暗を記録したものを重ねることでカラー写真を得るというもので、基本的に現在のカラー写真の原理をなす方法です。

色を記録するには、可視光のすべての波長領域の記録が必要!
初期フ写真技術では、可視光線のうち、赤外線に近い部分に対しては感度がありませんでした。このためカラー化の第一歩として可視光線全域に感度のある白黒乾板が必要でした。1873年、フォーゲル(独)がそれまで可視光線でも赤い部分には感度のなかった感光材を可視光線全域に拡げることに成功しました。

ポテトのでんぷんに色をつけて3原色のフィルターを実現
1894年ジョリー(アイルランド)は1枚の白黒乾板の上に細かい線状の3色のフィルターを並べた単一乾板のカラー乾板を発明しました。
しかし商業的成功を収めることになったカラー写真技法は、この後、1904年にフランスのルミエール兄弟により発明されました。オートクローム法と呼ばれるもので、3色に着色したでんぷんを白黒写真用の乾板の上に載せ、3色に着色したジャガイモのでんぷんに3色のフィルターの役目をさせカラー写真を実現しました。これは1907年から市販され本格的なカラー写真として使われました。

カラー写真と言っても感光する部分は白黒の感光材料!
これに微細なカラーフィルターを組み合わせることでカラー写真

カラー写真は白黒の感光材料と3色のカラーフィルター(もちろん極めて微細なものですが・・・)を組み合わせたものなのです。 基本的に現在のカラー写真も同じ原理でカラーの画像を得ています。


オートクロームカラー写真乾板

仏のルミエール社のオートクロームカラー写真乾板(オートクロームは1907年から発売。これは1915年頃のもの)

初めて商業的成功を収めることになったカラー写真技法は1904年にフランスのルミエール兄弟により発明された「オートクローム法」と呼ばれるものです。
RGB(オレンジ、緑、紫青)3色に着色したでんぷんを白黒写真用の乾板の上に塗って3原色のフィルターの役目をさせカラー写真を実現しました。これは1907年から市販され本格的なカラー写真として使われました。


1930年に撮影されたオートクロームカラー写真

1930年に撮影されたオートクロームカラー写真。オートクロームはガラス乾板にポジ画像として得られるもの。値段が高く、1枚しか写真が得られないというものだった。白黒乾板にくらべ感度が低かった。

オートクロームカラー乾板の顕微鏡写真

カラー写真に使われたじゃがいものでんぷん。−顕微鏡写真(およそ400倍)−
オートクロームカラー乾板はじゃがいものでんぷんに色を付けたものをフィルターとして利用しています。1mm四方にRGB(赤、緑、紫青)三原色のいずれかの色がついた約5000個のでんぷん粒がランダムに塗られています。上の顕微鏡写真には色の付いたでんぷんの粒がはっきりと写っています。

オートクロームカラー乾板は、まず、粘着性のある樹脂をガラス板の上に塗り、その上にRGB(赤、緑、紫青)三原色のでんぷんを塗っています。わずか1mmx1mmに約5000個のでんぷん粒がランダムに塗られています。更にでんぷん粒の隙間を埋めるため油煙(カーボン)を塗り、その上に白黒の感光剤を塗った構造でした。
撮影はガラス板側から光を当てて行います。でんぷん粒が微少なフィルターとして働き、それぞれの色に応じた光のみを透過させ,でんぷんフィルターの下の白黒乾板層を感光させます。つまり、フィルターに対応した光が入って来たときに白黒乾板層は感光して微少な黒い点を形成します。
これを反転現像という操作で白黒を逆転し、透過光で見れば、画像を記録するときに透過した部分はでんぷんのフィルターの色が見えることになり、カラー画像が見えます。


見えないものまで撮影出来る時代・・・
100万分の1秒〜200万分の1秒という超高速の撮影も・・・
感光材料を使った写真は大きな進歩を遂げました。露光時間という点では、ニエプスは日中1枚の写真を撮影するのに6−8時間を要したが、現在の超高速度撮影では100万分の1秒〜200万分の1秒に1枚の撮影も可能となりました。インスタント写真としてすぐに画像を見ることの出来る写真も登場しました。

X線写真や動画、ビデオも・・・ますます進歩!
白黒写真として始まった写真もカラー写真となり、可視光線だけでなく、X線等の目には見えない電磁波を使った写真撮影も目的に応じて種々行われるようになりました。
静止画像だけでなく動画の記録も可能となり、映画は多くの人に楽しまれています。 多くの先人の努力により、写真撮影は専門家のためだけのものではなく、今日では誰にでも手軽に楽しめるものとなりました。 フィルムを使うカメラはさらにデジタルカメラに。また動きをとらえる映画、ビデオも急速な進歩をとげています。

可視光だけでなくX線等を使った写真撮影も

可視光線だけでなく、X線等の目には見えない電磁波を使った写真撮影も目的に応じて種々行われるようになりました。特殊用途の感光材料は、医療用に限らず種々の用途で使われています。
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