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見えないものを見る工夫
=顕微鏡の考案(4)=
<その後いろいろな改良が・・・>
18世紀には、顕微鏡を安定させるための工夫、焦点合わせをスムーズに行うための工夫、より観察対象物を見やすくするための工夫等、種々のアイディアが試されました。顕微鏡の安定を増すために三脚や金属の支柱、焦点合わせのためのネジ機構、透過型の対象物にための穴の空いたステージ、集光のための鏡の採用等、種々の改良が試されました。

<レンズのいろいろな収差(ボケの原因)の克服>
1730年代にイギリスのChester Moor Hallは新たに作られるようになった鉛ガラスとそれまでに使われていたクラウンガラスを組み合わせることでレンズの色収差を低減できることを発見しました。しかしながらHallはそのころ英国で望遠セ産業が大きなビジネスになってきていたことから、発見の重要さを考え秘密にしました。
また、顕微鏡の対物レンズは小さなものであるため色消しレンズの採用が難しく、顕微鏡への色消しレンズの採用は1800年近くとなり、実際に多く使われるようになったのは1800年を過ぎてからと言われています。
球面収差は、レンズに光軸と平行な光線を入射させた時、レンズの中心にくらべ周辺部では屈折力が強くなるため、レンズを通った光は同じ場所に光が集まらず、前後にずれて丸いボケをつくる現象です。この問題は、1830年Joseph Jackson Listerが理論的に解明し解決法を提示し、1830年代の中頃には球面収差を解消した顕微鏡を製作しました。

色収差等の解消

<上の絵>
光の波長の違いにより焦点を結ぶ距離に違いが生じます。このためレンズを通した像がにじんで見えます。
<下の絵>
収差は、種類の違うレンズを組み合わせることで、解消できます。屈折率の少ない凸レンズ(クラウンガラス)と屈折率の大きい凹レンズ(フリントガラス)を適切に組み合わせることにより収差を解消します。


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