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*** 100円ショップで買った電卓の巻 ***

100円買える電卓や時計もある!
100円で電卓や時計が買えることをご存じですか? 当然100円で売るためには部品の点数も極力少なくし、ギリギリまで節約した設計になっているのでしょうが、それでも計算機が100円というのは信じられません。100円ショップで電卓を買ってきましたので中を見てみたいと思います。

100円電卓の中をのぞいてみましょう。
100円ショップの製品はすべて採算が取れているというものではなく、100円ショップ全体として採算が取れればいいという考えで売られているのかもしれません。しかしながら、実際に100円で売られているのですから、どんな構造なのか興味があります。
私が出向いた100円ショップには、色や大きさが違う数種類の100円電卓と、ずっと大きネサイズ(表示用の液晶部分はそれほど大きくはない)の150円の電卓が置いてありました。

これが100円で買ってきた電卓です

大きさは名刺より若干大きいくらい。透明の袋に入れて売れれています。


フタ付きで最大8桁までの計算が出来ます

フタが付いた構造でやや小さめのモノクロの液晶表示で8桁までの計算が出来ます。ルートキーも付いており、メモリもついていますので通常の一般的な電卓とほぼ同様の機能を持っています。
また「テスト用の電池が入っているので、電池がなくなれば電池交換を」とマニュアルには書かれていますが、一応電池も入っています。電源を入れると液晶はクリアに数字を表示しますのでこの電池でもしばらくは使うことが出来そうです。


電池はボタン電池1個で、テスト用と称する電池が1個入っています。

2つの電池が入るケースですが、実際に使われているのはボタン電池1個です。この電卓用というより他の製品のケースを代用しているのでしょうか?LR1130というアルカリボタン電池(1.5V)が入っています。ちなみにこのLR1130という電池は国内の希望小売価格が200円程度です。
まず裏ブタを取ります。電池ケースを閉めているネジを含め、4つのネジをマイクロドライバーで外せば簡単に裏ブタが取れます。

裏ブタが取れました

本体部分の横に長い白い部分の裏側がモノクロの液晶パネルです。左の上が電池。本体中央やや右の丸くて黒い部分が電卓の心臓部で演算装置部分だろうと思います。電子基板の配線は主として入出力コントロールのための配線だろうと思います。
本体の両サイドには裏ブタと本体の隙間をふさぐためのパッキンのためのプラスティック部品がはめ込まれています。また本体下の部分には上蓋をカチッと閉めたるためのプラスティックの留め具がはめ込まれています。

更に部品をバラします

これらが100円電卓に使われている部品です。これに透明の袋を加えればすべてということになります。
液晶パネルは電子基板と配線で結ばれています。電子基板にはキーボードからの入力信号を処理するための回路が焼き付けられています。

キーボードの裏側です

キーボードは柔らかいゴムのような部品で一体加工されています。それぞれのキーの後ろ側には電導性の黒いものが貼り付けられています(ゴムの様に柔らかい。テスターで電気が流れることを確認)。
キーを押すとこの黒い部分がその下にある電子基板の対応部分に触れ、その部分に電気が流れ、演算装置に入力信号として送られる構造です。
電子基板のそれぞれのキーの下の配線を見ると、電導性のもので上から触ると電気が流れスイッチの役割をしていることがよく分かります。

キーボードに対応して電子基板の上に回路

キーボードに対応して電子基板の上に回路が形成されており、キーボード上のボタンを押すと、信号が演算装置に伝わる仕組みになっています。この状態で電池をつなげば液晶パネルには表示され、キーに代えて電気を通すもので対応する回路部分を触れば計算が出来ます。

黒く丸い部分に演算装置?

黒く丸い部分に電卓の心臓部での演算回路が入っていると思われますが、外からは全く何も見えません。このあたりは、何の装置も使わない「ものこわし」では手も足も出ません。
どこでこれらの部品を作っているのかメーカー名等が記されていないか確認しましたが製品番号らしきものがあるのみで、どこで製造されているかの記載はありません。
黒く丸い演算回路と思われる部分を中心に液晶パネルへの出力のための配線、キーボードからの入力を演算回路に伝える配線がその下に配置されているのが分かります。

100円電卓の「ものこわし」を終えて
いくら労働コストの安い国で組み立てたとしても100円という値段は信じがたいものですね。
一つの商品だけで採算をとらなくても100円ショップ全体として採算が取れればいいという考え方かもしれませんが驚くべき値段です。8桁の加減乗除の計算がきちんと出来るわけですから・・・。
液晶パネル、キーボード、外枠、電池、演算素子・・・どの部品一つとっても100円で入手できそうにも思えません。こんな値段で電卓が販売されるような厳しい国際競争環境に私たちは直面しています。こんな世の中を生きていかなければならないのですから相当の覚悟が必要です。
資源の少ない国に生活する私たちが国際競争という新たな土俵で生き残るためには、新しい「工夫」や「アイディア」が必要とされています。最近の私たちは自然の力に生命の安全を脅かされるという場面は少なくなりましたが、国際的な競争に耐えていくために、それなりの「工夫」をこらし、「創造力」を持った活動をしていく必要があるのではないでしょうか?

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100円電卓は部品点数が少なく、構造が単純でしたので、分解後また組み立て直して使える状態に戻しました。電池がどれだけ持つかを含めて少し使ってみようと考えています。
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