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2021年5月20日 オンライン講演会「キューブサットとは何か」
質疑応答集

オンライン講演会での質問と回答をまとめました。

デブリの問題 1 超小型衛星、高度数100㎞に1万個とのこと。
デブリの問題、更には地上からの天文観測への影響は?
キューブサットは必ず25年以内に落下するところにしか打ち上げません。
国際宇宙ステーションから出す衛星は長くても3年くらいで落ちます。
だからこそ誰かに迷惑をかけないようコントロールされた状態であり、約束ごとを守っているうちは大丈夫です。
地上からの天文観測への影響は、キューブサットについては許容範囲内と考えてください。
最近話題のスターリンク衛星は1機が100kgくらいの大きさで、このような衛星の場合は、反射光が天文観測に影響があるので反射させないような対策をしています。

2 カメラなどを搭載する際に重量を考えないといけないと思いますが、搭載できる重量には制限がありますか?
キューブサットの場合は重量よりも体積の問題が一番です。
鉛の板をいっぱい搭載するような場合は別ですが、カメラを載せるなどミッションボードにどれだけ電子部品を載せても重量的には問題はありません。

3 キューブサットのソーラーパネルはどのような開き方をするのでしょうか?
今回のキューブサットではソーラーパネルはボディに張り付けており、そのままとなります。
パネルを開くことは技術的に大変で失敗する可能性が高いので、(機能を考える際には)そのリスクを冒さないということが大切です。

4 ミッションは地球に関することが多かったようですが、宇宙(外)に関するミッションでもよいのでしょうか?
大丈夫です。

5 もしもカメラをつけるとしてカメラの銘柄の指定までできるのでしょうか?
もちろんです。
カメラを付けたいというのであれば、自分の好きなカメラを指定してください。

6 ミッション部分にソーラーパネルを載せることは可能なのでしょうか?
外光をあてないといけませんが、やろうと思えばできます。
例えば、内側(ミッションボード)に搭載して、そこに光があたるようにする。あるいは、外につけるというようなこともできます。
ミッションボードに太陽電池をつける場合は、外側の基盤の穴をあけても大丈夫な場所に、穴をあけて光があたるようにします。ただし、穴は大きな面積は取れません。

7 具体的には何mm四方の穴を開けることが可能でしょうか?
せいぜい20mm四方くらいです。

8 キューブサットに穴があけられるのであれば中から物体を出すという行為はできますか?
できます。手みたいなものをだしたりすることはできます。
ただし、放出はできません。デブリの問題になります。
キューブサットは地上からレーダーで追跡されてどこにあるのかが正確にわかるので何かにぶつかりそうなときには警告を発することができます。10cmというのは追跡ができる最小のサイズなので、それより小さいものを放出するとレーダーでは見えなくなり警告が出せなくなります。
衛星につながっていれば大丈夫で、切れたり分離したりしてはダメということです。

9 折りたたまれたソーラーパネルを穴から出して外で開いて発電することはできますか? また開いた時点で最大何平方センチメートルまでは許容範囲ですか?
できます。開いた状態での許容範囲は何平方センチメートルでもかまいません。

10 宇宙についてもっとよく知りたいのですが、何かおすすめの勉強法(本など)があればしりたいです。
以下、おすすめの参考書です。

0. BIRDS プログラム デジタル 教科書
https://birds-project.com/mext/pdf/Digital_Textbook_F_J_2021MAR14.pdf 無料です

1. 人工衛星のひみつ
出口由美子(著)、入澤宣幸(イラスト)
学研まんがでよくわかるシリーズ

2. キューブサット物語
川島レイ
978-4767803999

3. 衛星設計入門
茂原 正道 (編集), 鳥山 芳夫 (編集)
出版社 : 培風館 (2002/6/1)
ISBN-13 : 978-4563067212

4. 人工衛星をつくる
宮崎康行
オーム社
978-4274503719

5. RFワールド No.15 衛星と無線通信システム: 衛星システムの基礎,通信衛星の歴史,伝送方式,回線設計など
出版社 : CQ出版 (2011/7/29)
ISBN-13 : 978-4789848862

6. トラ技ジュニア No.34【PDF版】
https://cc.cqpub.co.jp/lib/system/doclib_item/1221/
2018/07/10

7. トランジスタ技術2020年6月号 宇宙大実験!人工衛星の製作【PDF版】
https://cc.cqpub.co.jp/lib/system/doclib_item/1270
2020/06/01

11 宇宙を見た場合、どこまで見ることができますか?
望遠鏡やどういうカメラを積むかによります。
姿勢を止めることができないので星の写真はかなり難しくなります。月の写真を撮ることは多分できると思います。
キューブサットでは月や太陽は見ることができますが、木星とか火星はもしかしたら見ることができるかもしれません。
カメラが壊れる可能性があるので太陽はあまり見ない方がいいでしょう。

12 搭載する物体の状態に制限はあるのでしょうか?(気体、液体、物質など)?
液体とか気体を搭載することについてはやめておいた方がいいと思います。
宇宙ステーションに持ち込むので安全面での審査がものすごく厳しくなります。万が一宇宙ステーション内で漏れた場合などに大丈夫かどうかなどの審査が結構厳しいです。
固体の場合は人体に対して有害でないものは問題ありません。

13 姿勢制御ができないということは、キューブサットはかなり高速で回転していると考えてよいのでしょうか?
そうでもありません。
最初のうちは30秒で1周する場合もありますが、次第に遅くなり最終的には1周するのに5~6分程度にまで遅くなります。

14 ミッション開発講習会の日程を教えてください。
ミッション開発講習会は、現在の状況から集合講習は難しいかと考えています。
そこで、講習内容をビデオ化して配布する方法で検討しています。
ビデオ化することで質問等は別途問い合わせになりますが参加者は各自の都合で自由に受講できます。
詳細が決まりましたらお知らせします。