「野生のマガモを捕獲しGPS発信機を装着する調査」に同行

報告/佐賀県立宇宙科学館・中村安弘


現在日本では、野鳥をはじめシカ等の哺乳類、琵琶湖のフナ等の魚類といった大小様々な動物に小型のGPS発信機を 取り付けた調査が展開されています。今回千葉県我孫子市にある日本最大の鳥類研究機関「公益財団法人山階鳥類研究所」の マガモ飛行ルート解明における調査(韓国との合同調査)が2023年12月に山口県で行われることになり、私も同行させて いただくこととなりました。 今回の調査同行目的は、①担当している宇宙教育JAXAGA SCHOOLの教材撮影、②GPS発信機の装着で、ぜひ体験したく 調査元の山階鳥類研究所研究員の澤祐介さんと、現地の山口県立きらら浜自然観察公園原田量介園長のお誘いで実現しました。 

調査のようす


澤研究員(左)と原田園長(山口県鳥獣保護管理員)

池で羽を休めるマガモ(左♂)
<1日目> 昼に佐賀を経ち、関門橋を渡り夕方現地へ到着すると、澤祐介研究員と現地県立自然観察公園の皆さんで捕獲準備の作業が進んでおり私も同行・従事しました。 自然観察公園内敷地にある淡水池や汽水池の数か所に、公園の皆さんが1ヶ月程かけてシイ類(どんぐり)やムギ等を給餌用に蒔き、 カモ類が餌場として日常的に利用する環境を下準備されたポイントに数種の「仕掛け」を日没にかけ設営しました。 これらの仕掛けに関しては、普段は携わることが出来ないため、貴重な体験や様子を撮影することができました。

公園の朝焼け

仕掛けに入ったマガモ♂
<2日目> 翌早朝から現地で仕掛けの状況確認や新たな仕掛けを設営した後、午前9時マガモのメス2羽が、続いて10時過ぎに同じくオス3羽(うち1羽は取り逃がす)を捕獲。 直ちに捕獲個体を施設へ運びGPS発信機装着作業を行いました。

体長測定やGPS発信機装着作業に入る

マガモ♀に装着するGPS発信機

私も作業を体験。この取り付け技はかなり難しい!!

装着作業を終えた個体を放鳥
澤研究員が4個体ごとの体長測定を行ったものを記録し、フン・羽の採取(鳥インフルエンザ関連)、足環装着に続き、ランドセルを背負うイメージで、紐を通した GPS発信機を慎重に個体背中へ取り付ける作業を撮影し、私もオス1羽に取り付ける作業を体験させてもらいました。 4個体の装着作業は2時間程を要しましたが、初めて機器装着を体験させていただいたことと、普段出来ない作業等の機会を得ることができ、非常に有意義な時間となりました。