「SaganSat0号機打ち上げ成功」
ー佐賀県内高校生が携わった超小型人工衛星ー


佐賀県立宇宙科学館《ゆめぎんが》「JAXAGA SCHOOL(ジャクサガ スクール)」の高校生が九州工業大学の支援を受けて制作した超小型人工衛星「SaganSat(サガンサット)0号機」が8月5日午前0時2分、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍施設で打ち上げられました。SaganSat0号機は米国スペースX社のロケット「Falcon 9」に搭載し、ロケットから切り離された輸送機で国際宇宙ステーション(ISS)に届けられ、8月末から9月上旬の間に日本の宇宙実験棟「きぼう」から宇宙空間に放出されます。
 衛星開発には唐津東高校、北陵高校、有田工業高校、武雄高校、早稲田佐賀高校の県内5校の科学部の生徒を、《ゆめぎんが》が指導やとりまとめを行い、九州工業大学の技術支援を得て3年がかりで制作しました。複数校の高校生が力を合わせて超小型衛星を開発する試みは全国でも初めてです。
 ゆめぎんがでの打ち上げライブビューイングには、深夜にもかかわらず30分前に武雄高校、有田工業高校の生徒、保護者ら30人が集まり、現地からの米宇宙航空局(NASA)の中継映像を見守りました。前日の打ち上げが延期になっただけに、生徒らは祈るような思いで画面を見つめました。午前0時で日付が変わり、あと2分、1分前、10秒前、「5、4、3、2、1」。声を合わせてカウントダウンからリフトオフ。みんなの思いを載せたサガンサット0号機は空へ。拍手と歓声の中、まもなくロケット1段目を切り離し、約15分後には2段目から離れ、ISSの待つ宇宙へ飛び立っていきました。
 分離したロケットの1段目が地上に舞い戻り、発射台に着陸すると会場から拍手が起こりました。感激の瞬間に立ち会った武雄高校2年で科学部部長の前田実日子さんは「先輩たちの作り上げた人工衛星で実感がなかったけど、打ち上げられるところを見てようやく実感が湧きました。先輩たちに感謝し思いをつなげていきます」と話していました。
 打ち上げは当初、4日午前0時28分に打ち上げ予定でしたが、現地の天候不良で延期されました。この日も高校生と保護者が集まり、現地からの中継を見守りましたが、50分前に公式に延期が伝わり、衛星打ち上げを手掛けるSpaceBD社の担当者がこれまでの打ち上げ映像を見せながら打ち上げから放出までを丁寧に解説、会場との質疑を行いました。
 SaganSat0号機は放出後、地上420キロの円軌道に乗れば、ゆめぎんがにある地上局キューブサットラボと結んで撮影データなどを送り、高校生らが衛星から送られたデータをもとに解析をします。
 JAXAGA SCHOOLは佐賀県が宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携し、2021(令和3)年度から小学生から高校生までが宇宙に関する授業や体験活動を年間通じて行っています。

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パブリックビューイングのようす


8月4日 延期決定後にSpaceBD社から解説を受け、
高校生が質疑応答しました

8月5日も30名近く集まったパブリックビューイングの会場

8月5日 00:02 打ち上げの瞬間には拍手喝采!

打ち上げ予定日は全館で応援しました!

高校生の活動を支援してきたスタッフも
思わず力が入ります

ロケット打ち上げ瞬間のNASAの中継映像